エレジー * Elegy

2010年10月3日日曜日 18:17


ちょうど老いについて考えていたところだった。
ミドルエイジ・クライシスという言葉を初めて耳にして、
自分が今囚われている得体の知れない不安が、実は自分だけのことじゃないのだと知った。
「人生の正午」を過ぎ、「人生の午後」を過ごしながら、
それを自覚しながらも、今も違和感・不安を拭い去れないでいる。
往生際が悪いって思われるかもしれない。
でもそれがわたしなのだから仕方ない。
「人生の黄昏」はまだまだ先で待っててください :-)
ふとこう思った、ヨーロッパの夏のように、夜の9時や10時になっても明るいのがいいな、と。
時間の流れは受け入れる、でも何かを諦めるのは嫌だ。

映画「エレジー」とはそんな時に出会ってしまったのね。
わたしの視点は、老教授デイビッドに、時に彼の長年の愛人キャロラインに、デイビッドの親友の妻にと移る。
瞬きすら惜しかった。なぜって、彼らの要素は尽く、わたしの中にあると感じたから。
老いることへの不安、ありたい自分でいられなくなる不安、
人を愛すること、愛されたいと思うこと、きずなを愛惜しむこと、
セクシュアリティ、自由でありたいと思うこと…
時々答えがあるような気がするけれど、もともと答えなんかない、ほとんどのことには。
そんなことがとても丁寧に描かれていると思った。
観てよかった。

監督のイザベル・コイシェIsabel Coixet、調べてみたら「あなたになら言える秘密のこと」の方だった!
すっかり腑に落ちる。
お陰で「死ぬまでにしたい10のこと」を観なきゃって思ってたことも思い出した。